今回、レスパスビジョン株式会社様(渋谷区千駄ヶ谷)をご紹介します。同社は、1987年11月に設立されたポストプロダクションです。設立に当たってライブ映像の編集に着目するというコンセプトから、ライブ映像の編集作業を効率的に行うために独自のマルチカメラ編集システムを開発されました。以後、音楽作品を主に手がけてこられ、現在も音楽関係の仕事が非常に多く、作業のおよそ半分はコンサートやプロモーションビデオなどで占められておられる独自のカラーをもった総合ポストプロダクションとして活発に活動されております。今後は、CMのHD制作や映画の本編、予告編への積極的な参入を考えられており、その有効的なツールとして昨年の10月に、弊社取扱いの『FilmMaster』(スウェーデン:DigitalVision社)、『Cinemage』(米国:Cine-tal社)を導入されました。その経緯について代表取締役の鈴木仁行様にお話を伺いました。
鈴木様は、以前より、高クオリティなデジタルデーターにより一貫したワークフローの優位性に注目されており、今後デジタルシネマ化などが進めば同社にとって十分付加価値が出てくると判断され、DIによる制作ワークフローの構築に着手されたそうです。現在、国内ではDIはまだまだこれからという状況ですが、将来を見据え世界標準のワークフローを常に意識されているようです。
同社は、昨年の9月に「ARRISCAN」を導入されました。まず、「ARRISCAN」でスキャンニングされたデータは大容量のNASへ貯められますが、『FilmMaster』はダストやグレインリムーブ作業においてダイレクトにNASへアクセスし作業を行うことが出来ます(DVOを適用したレンダリングキャッシュは『FilmMaster』のローカルへ保存)。同時に仕上がりを想定したカラーコレクション作業も行っているとのことでした。
スーパー16mmフィルム等の粗いフィルムのグレインやダストを取り去るグレインツールを探されておられました。候補となる製品の中で『FilmMaster』のDVOツールが一番仕上がりが良く処理スピードも早かったことが導入を決定された理由だったそうです。
また、『FilmMaster』がハードウェアベースでは無く、今後のスペックアップに期待出来る"PCベース"であったという点もプラスに評価されたとの事でした。
同時に導入して頂いた『Cinemage』は、映画用のマスターモニターとして色再現性が高く、液晶であるからこそグレインの有無が判別し易いという理由から決断頂きました。
実際に作業され、カットごとにグレインをコントロールでき、色だけでなく、グレインの加減も状況に応じてコントロール出来る点に大満足頂いているようでした。また、CGとの合成後の作業や高度なカラーコレクションのトラッキング精度についても高い評価を頂けました。意外なご意見として、『FilmMaster』による処理において、VTR独特の質感を少なくする効果があるそうで、バリカムで撮影された映像でもかなり効果があるそうです。
一方で、ハードウェアカラコレに慣れている方には、Valhallコントローラーの操作に慣れるのに少々時間が必要ではないかとのお話もありました。
また、EDLコンフォームの際の音の処理がもう少しとのご意見もお伺いしました(Ver3.6で対応予定です)。他にはクライアント様からワークフローの中の一作業としてのカラーコレクションとしてだけでなく、"フィニッシングに近いカラコレ"としての要素を求められることもしばしばあるそうです。
今後は、最高画質のままフィニッシングを行える高い作業効率を可能とする、高速なSANを中心とした「データセントリックワークフロー」の確立を目指されておられます。今年に入り部屋の稼働状況も上がっているが、これから徐々にでもこのワークフローが作品制作に携わる方々へ浸透すれば良いと力強く語っておられました。 弊社への要望事項といたしましては、「常にメーカーのロードマップを知らせてほしい」、「メーカー間での連携強化」、「日本語マニュアルの作成」とのご意見を頂戴し、弊社としてもお客様やメーカーに対して正確な情報をタイムリーにお伝えするという大事な使命を再認識致しました。
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