株式会社モイ様

ダビングとITU-Rの共存、Hybridな設計

この度当社は新しくMAスタジオを設営された株式会社モイ様のシステム設計、施工を担当させて頂きました。
そして株式会社メディア・インテグレーション様取材の元、お話を伺わせて頂きました。

山手通りと、井の頭通りの交わる富ヶ谷交差点から、路地を一本入ったところにあるポスト・プロダクション "モイ"ここに新しいスタイルのMAスタジオが誕生した。

システム設計・施工は、株式会社フォトロン様。機材導入のお手伝いをさせていただいた。コンパクトながらも劇場と同等の音場を構築している。そのスタジオのコンセプト、機材のセレクトに関するこだわりなどをチーフエンジニアである柳智隆氏に伺った。

MA以上ダビング未満

スタジオを入ってまず目に飛び込むのが、巨大なスクリーン。150inch あるというそのスクリーン、これは、このスタジオを設計する当初よりあった一つの目的、映画のダビングの出来るスタジオにしたい、これが前提だ。ダビングスタジオといえば、空間容積を大きく取り実際の劇場と同様の環境を作り上げるという手法が一般的だが、ここでそれほどの空間容積はとれないことは、当初より解っていた。そこで、MA 以上ダビング未満で、完成されたパッケージのスタジオをデザインしようということになった。

DCP の普及と国内のインディース映画の成功によりダビングの需要は多くなっている、しかしダビングステージを使えるほどの予算はない。そういった作品は、MA スタジオのITU-R 準拠のサラウンド環境でのミックスを余儀なくされている。この中間に需要はあるのではないかというのが、柳氏の考えだ。
スクリーンバックに設置されたスピーカーもTV モニターを見ながらのミックスとは違った環境を得ることができる。当たり前かもしれないが、スクリーンから音がするのだ。これにより、映像と音の位置が完全に一致する。柳氏は、これが作業効率に非常に大きな影響を持つという。映像の中と音がなる位置が一致すれば良いのだ。サラウンドに関しては、5.1ch,6.1ch,7.1ch に対応。写真の通り、サブウーファーは柳氏こだわりのダブル仕様だ。もちろんスクリーンバックとデフューズサラウンドだけではなく、ITU-R 配置のサラウンドを行うためのADAM のスピーカーも用意されている。

Hybrid な環境にHybrid なコンソールを

そして、コンソールにAVID System 5 を導入。2式のPro Tools HDX とはHybrid でEuCon 接続がなされている。これらはHDMADI をI/O として採用し、System 5 のDSP に直結されている。
このシステムは、サラウンド作業を行うのに一番便利な卓は何か?ということで選ばれたということ。

今、コンソールレスの環境も増えつつあるが、今一度レコーダーとコンソールという従来の環境のメリットも見なおすべきではないか?という思いと、その反面DAW さえあればなんでもできるという考え、その両面を全てカバーできるシステムにしておきたかった。それにより、どの様なお客様にも、エンジニアにも対応可能になるシステムが構築できると考えシステム設計を行われた。

こだわりの特注サラウンドパンナー

コンソール回りで、特にこだわられたのがサラウンドパンナー。特注の外付け仕様。やはり、サラウンド・パンナーはセンターで使いたい、しかし、常に使うものではないので、通常は、フェーダーがセンターにあって欲しい。その希望を両立するためには、この様なボックスでのサラウンドバンナーが必須。音の動き、低位を作る作業は、センターでないと作業ができない。当たり前のことに、当たり前にこだわった結果がこの特注パンナーだ。
実際に85SPL でのサウンドを聞かせて頂いたが、飽和することもなく、二回りほど大きな空間にいるような錯覚を覚えたほどであった。これは、スタジオ施工を請け負った日東紡音響のAGS が壁面いっぱいに埋め込まれていることが上手く、壁面反射を減らし拡散効果を出していると。

実は、見えないクロスの裏にも何箇所かこのAGS が仕込まれているとのこと。想像を上回る非常に優れた空間音響になっているといえる。一歩間違えると非常に中途半端なシステムにもなりかねない今回のシステム。MA, ダビング両方の現場の経験を持つ柳氏だからこそ実現した、まさにHybrid なスタジオとなっている。コンパクトながら、大規模な作業から、小規模な作業まで全てに対応できるシステムだ。

機材のせいで出来ないことを無くしたい

現在モイ様には、若いエンジニアが多く所属しているとのこと。この若手に機材のせいで、仕事を選んでほしくない、この部屋だから、といった理由で、作業を選んでほしくないという事を伺った。モイ様の2つのMA ではCM、VP、劇伴、ダビングと映像と音声に関する作業であれば、なんでも受け入れられるファシリティーとスタッフが揃ったことになる。様々な作業を経験し、その中から、自分の好きな分野に進んで欲しいという思いを語っていたのが印象的。余談ではあるが、まずは、スタッフの映画館になるんだろうな、と微笑んでいたのが忘れられない。インタビューを伺った柳氏の人物が浮き出た一瞬であった。

(この記事は2012年12月07日時点の情報です)
柳 智隆

柳 智隆
2010 年3 月よりフリーランスとしてmoiでMA作業を開始 。2011 年4 月moi入社。現在moiチーフミキサー。
moiにて数多くのバラエティ番組・ドキュメンタリー番組のMA作業を担当。番組のみならずPV・CM・DVD・映画などALLジャンルのMIXINGをこなす。趣味はたまの休みにとても癒される水草水槽の育成。
最近の作品 : CX「スナック喫茶エデン」 、TBS「情熱大陸」、TVCM「BMWシリーズ」、DVD・BD「小田和正コンサート" どーもどーも" その日が来るまでin 東京ドーム」、DVD・BD「2012 YG Family Concert in Japan 」、映画「忌野清志郎 ナニワ・サリバン・ショー~感度サイコー!!!」

株式会社 モイ 様
〒151-0063 東京都渋谷区富ヶ谷2-2-17
TEL: 03-6231-4000 FAX :03-5738-4077
http://www.moi.co.jp

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