Avid NEXISを軸とした4K編集システム構築で「使い勝手」を大きく変えずにステップアップを実現

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Avid NEXISを軸とした4K編集システム構築で「使い勝手」を大きく変えずにステップアップを実現

目次

角川大映スタジオ(東京・調布市)はこのほど、4K/HDR制作に対応したオンライン編集室を構築、Avid NEXISを軸とした最先端の編集作業設備を整えた。従来のワークフローを大きく変えず、機能性を大幅に高めたという設備更新のポイントを聞いた。(レポート:高瀬徹朗)

写真前列右から角川大映スタジオ 営業部ポストプロダクション技術課 編集の横山将史氏、小池恵加氏、後列左から同課の石川侑典氏、株式会社フォトロン 映像システム事業本部映像システム一部映像第一チーム長の塚越学氏

更新設備の概要とポイント

更新されたスタジオには、4K対応「AvidMedia Composer」を1式、「Blackmagic DaVinci Resolve」を1式。コンポジットに「Adobe Creative Cloud」と「BlackmagicFusion」、テロッパーに「TFX-Artist」を配備した。
また、スタジオ全体設備として従来から用いてきたAvidのサーバー「ISIS 5000」の後継として、最新の4K対応リアルタイム・メディア・ストレージ「Avid NEXIS|E4」を用意。その他、映画系も取り扱う特性から、トランスファールームにMTI Filmの「CORTEX」を用意した。

「きっかけは4K対応。これまで使ってきた『Avid DS』ではHD以上の対応が難しいが、すでに4K作品が入ってくることが決まっていたので対応を迫られていた」(角川大映スタジオ営業部ポストプロダクション技術課 編集・石川侑典氏)。
編集機選択においてポイントとなったのは「ワークフローを変えすぎないこと」(設備更新提案を担当した株式会社フォトロン 映像システム事業本部映像システム一部映像第一チーム長・塚越学氏)。
もともと「Avid DS」を利用していたという点、サーバーに「ISIS 5000」を採用している点を考慮しつつ、高コスト・高パフォーマンスな単体ではなく機能を分散しつつコストを抑えるという狙いから、柔軟な活用も可能な「MediaComposer」と「Resolve」の組み合わせが提案されたという。

システム構成上の特長

前述のとおり、角川大映スタジオは従来から「ISIS 5000」を軸にしてきたが、このほど「NEXIS」を共用ストレージとして活用。今回の更新では「Resolve」にローカルストレージを用意し、ある種の「避難所」などに活用されている。
「4Kコンテンツをメインで取り扱う以上、共用ストレージに帯域面を含め負担をかけすぎないようにできるというのもありますが、一次ファイルとしてローカルにおいておくことで、保険的なバックアップはもちろん、作業を分散する際など安定して作業することができています」(角川大映スタジオ営業部ポストプロダクション技術課 編集・横山将史氏)。

構成上、もうひとつの特長といえるのがMTIFilmの「CORTEX」。角川大映スタジオによれば「(4K対応の同編集室が使われるのは)テレビドラマ中心。映画もときどき入ってくるが、そう多くはなく、CM編集はない」(石川氏)ということだったが、制作側の考えから「Logで撮影された作品が多い」(同)そうだ。
「4Kフローをご提案する上で、XAVC撮影が基本の放送局とは大きな違い。Logで入ってきたものにLUTをあてて変換というのが多いのであれば、入口付近のフィルム対応を強めておく必要がある、と考えました。またCORTEX提案したもう一つの理由として、今後の展望で映画や配信にも使えるよう、DCPパッケージやIMFパッケージの作成も視野に入れていることがあります」(フォトロン・塚越氏)。

MTI Film 「CORTEX」、そして「Resolve」もフィルムの取り扱いに強い製品。ここを経由してNEXISへと送ることで、システム全体の安定度を高めたというわけだ。

存在感みせるテロッパー「TFX-Artist」

フォトロンの自社開発テロップシステム「TFX-Artist」も、4Kシステムの中で優れた機能性を発揮している。
「TFX-Artist」は4K・2K対応のテロッパーで、自由度の高い表現力と作業効率性の高さ、国産製品ならではの日本語機能の充実が魅力の製品。国内事業者を中心に採用実績を重ねている。
今回のケースにおいて「TFX-Artist」がニーズに刺さったのは、Avidのテロッパー「Deko」と同じような形で利用できることにあった。
「長くDekoを使ってきたので、使い方に戸惑いは感じなかった。おそらくDekoを使ってきた人間ならトレーニングなしで使えると思う」(石川氏)。処理速度や作業効率性の工夫から「Dekoより使いやすい」(角川大映スタジオ営業部ポストプロダクション技術課編集・小池恵加氏)との声もあり、4K化を契機にますます採用が伸びていくことが期待されている。

システムを使う現場の感想

「Avid Media Composer」の使い勝手について、石川氏は「4Kの重さも感じさせず、さくさく動く印象。納品にあわせたフォーマットの切り替えも楽で、NEXISとの相性もいいので作業効率も高い」と評する。
共用ストレージの相性については4K化に伴い「Avid NEXIS」を入れたことでアクセス速度があがっていることもあるが、回線の帯域が10Gネットワークでつながっている点も大きく貢献している(従来は1G×2本の2G)。
また、出し口のフォーマットについても「Media Composer」本来の性能に加え、「CORTEX」を含めたシステム全体で配信系を含め幅広く対応できる仕組みを整えており、作業上の負担軽減を実現している。
「Resolve」と「CORTEX」の作業切り分けについては「1作品で両方使うのが基本。ひとつでできないわけではないが『Resolve』のカラコレに慣れているというのもあるので、カラコレはResolveで、というパターンが多いです」(石川氏)という。
このあたり、全体を通じて従来のワークフロー、現場スタッフの練度などを生かしたシステム構築がなされていると評価できる。「本格的な編集・仕上げでMedia Composerを使うのは初めてだが、スムーズに使えていると思う」(横山氏)。
また、石川、横山の両氏とも「本格的な設備更新に携わったのははじめて」とのことだったが、共用ストレージとローカルストレージの併用やCORTEXの採用、また「最も迷う部分」と話す編集機選択などの決定において、提案者であるフォトロンと密に連携を取りつつ、「自分たちが納得のいく形で進めてもらった」(石川氏)と振り返る。

最先端の4K設備に更新する上で現場が求めることとは何か。そのニーズに応えつつ、ステップアップした「使いやすい」システム構築を実現したという点で、4K設備更新の好例となっている。

(月刊ニューメディア2018年1月号より転載)

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